三国の長屋 [改修工事]

大阪市内の密集地に建つ長屋の改修です
朝日放送「劇的!!ビフォーアフター 命がけで背伸びする家」のプロジェクトです


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設計概要

《三国の長屋》

大阪市内密集地の、間口2間の住戸が4軒連なる築50年超の長屋の改修です。

一戸当たりの延床面積も50㎡に満たず、窓を開ければ向かいの家と覗きあい声も響き渡る密度です。路地には鉢植えが所狭しと並べられ、子供が遊び回る親密な土地柄でもあります。 驚くほど多くの家財に囲まれ身を置くスペースもないこの家で、高齢のお母様は急な階段の上り下りが負担となり、娘さんは水墨画の制作に励むかたわら、書道教室を営まれています。建物は老朽化も進み、薄い土壁のみで両隣とのプライバシーもない長屋暮らしでしたが長年住み続けた地域への愛着から、お二人はこの住まいの改修を決断されました。
しかしながら建築法規上1㎡たりとも増床は許されず、また4軒で一棟である構造上、基礎や軸組の耐震補強もままなりません。設計者としては出来うる範囲の構造補強と、隣戸との遮音対策を施したうえで、生活の利便と潤いを生み出すことに努めました。

お母様の日常生活は1階で完結するよう、狭いながらも採光通風に恵まれた東端を母寝室としました。浴室便所を界壁沿いに並べ直して間口を開放し、食堂台所を屋外に面する一室としています。その天井には天窓を設け、明るさを導きました。 玄関から直結する階段で上がる2階の一間は書道室として、生徒と生活を分離しました。一角に設けた床の間には丈の長い水墨画も展示できます。続くもう一間が水墨画のアトリエです。 ひとたびとり掛かると2-3ヶ月要する制作に没頭できるよう、大きな机はそのままに天井近くまで昇降し、空間を立体的に活用してその下をベッドとしています。上昇した机の裏面は照明を仕込んだ紙障子として圧迫感を抑えインテリアにも寄与しています。 壁厚も含め僅かなスペースも有効に利用するとともに、水墨画の画材トレイや完成し軸装した作品の保管などその収納勝手にも様々な工夫を施しました。 外壁と室内の壁天井の仕上は断熱遮音塗装とし、水墨画用紙などを収納する小屋裏は総桐張りとしています。

新たに設けたバルコニーには目隠しの木製ルーバーを設け、外観も一新されました。水墨画の小品を飾る杉の表札を眺め、板張りの玄関引戸を開けると正面には、額に見立てた框扉に飾られた水墨画の作品が迎えてくれます。

この改修工事は、朝日放送のTV番組「大改造!! 劇的ビフォーアフター」の “命がけで背伸びする家” として進められました。       

建築概要
          
  • 延床面積:48.85㎡ + 小屋裏収納9.42㎡
  • 規模構造:木造 2階建て(四軒長屋の一戸)
  • 設計期間:2014/10~2015/05
  • 工事期間:2015/01~2015/05
  • 設計監理:木村哲矢建築計画事務所
  • 施  工:北谷建設株式会社
  • プロデュース:株式会社 社員
  • 撮  影:中村写真工房 中村大輔
  • 掲  載:
    朝日放送「大改造!! 劇的ビフォーアフター
    “命がけで背伸びする家”」2015/06/07放映
    ビフォーアフター大賞2015家具・収納部門受賞